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『バビロンの大金持ち』ジョージ・S・クレイソン:読書感想

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「財布を太らせる七つの極意」が有名な本。

バビロンを舞台に、章によって登場人物が変わり物語が進行します。

七つの極意を箇条書きするとこのようになります。

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①財布の中の貨幣10枚のうち、使うのは9枚まで、残り1枚は貯める

②まず必要不可欠なものを手に入れてから、楽しいことや価値あることに費やすが、収入の9/10を超えないこと

③蓄えた金を働かせ、増やす

④慎重に元本が保証された投資をする

⑤賃貸ではなく家を買う

⑥老後や家族の将来のため早くから備える

⑦自分の能力を向上させ、収益力を高める

⑤以外は多くの人が同意できる内容でしょう。

これはこれで面白いのですが、私は「バビロンの駱駝商人」に登場するシラという第一夫人の気高い女王の魂が好きです。

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自由民だったダバジール、借金が返せず没落し、強盗団に入るも団の強盗失敗により、シリア人族長の奴隷となる。

ダバジールは、族長第一夫人シラの駱駝の世話係となり、ダバジールがかつて自由民だったと告白するとシラに、

『おのれの弱さゆえここまで堕ちた身で、どうして自由民を名乗れるのでしょう?おのれの内に奴隷の魂を宿す者は、いかなる家門に生まれようと、低きに流れる水のごとく、奴隷となり果てるのではありませぬか?自由民の魂を宿す者は、たとえ不運に見舞われようと、生まれ育った街で人から敬われ、誉れ高き人間となるのではありませぬか?』

と諭されます。

気高いシラのセリフが魅力的です。

実はシラ自身も持参金目当てで結婚させら、夫に女として求められていない不遇な境遇、しかしながら、シラの魂は高潔です。

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それからダバジールは自分の魂は、自由民の魂か奴隷の魂かを自問自答、時折、シラに今の魂はどちらだと聞くも一蹴されます。

シラの他のセリフも勇ましく感情が揺さぶられます。

『奴隷同然の身に甘んじるより死を選ぶ』『シリアの奴隷で終わるなら、そなたは腰抜けです』『ならば、証を立てなさい』『そなたの誇りは土にまみれ、今やシリアの奴隷となり果てました』『そなたはそなたの道を進みなさい』など奴隷の魂でいられなくなります。

その後ダバジールはシラの手助けによりシリア人族長の奴隷から脱走し、バビロンで駱駝商人として成功します。

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「財布を太らせる七つの極意」は金を貯めるテクニック、「バビロンの駱駝商人」は経済的に成功するためのメンタル話だが、2つでセットです。

人間はどうしても目先の欲望に負け、金を使う。

強いメンタル「自由民の魂」を持たなければ、財布を太らせることはできない。